土壁
土壁の補修をしました。
材料は解体した際にでた土壁を再利用しています。新築の時のように1から用意すると、すさを入れたり発酵させたりと手間がかかるのですが、再利用の場合は水を加えて練るだけで十分です。多めに確保しておいて正解でした。
紐は棕櫚縄を使用しました。面白いことに最初の左官さんは麻縄、次の修繕ではビニール紐が使用されていました。自分の場合は、補修すべき木舞のピッチが所々狭くなっており、麻縄では通しにくそうだし、ビニール紐だと恰好が悪いな、という消極的な選択だったわけですが、三者三様こだわりが感じられます。
建築史家の藤森照信さんの著書(タイトルは失念しました)で建築材料としての土について興味深い話がありました。「土は思考を吸収する」というものです。
数値化されない材料の魅力にまで触れられており、豊富な話題、広い視野で他の話も大変面白く読ませて頂きました。
土壁といえば吸湿効果がありますなんて宣伝を耳にしますが、湿度だけではなく思考までも吸収するとは。確かに土壁の茶室などでは、思考を活発にするというよりは、思考を停止して心穏やかにすごす、そんなイメージがありますが、読んだ当初は大した実感はありませんでした。
今日は一心不乱に土壁を塗りました、一緒に作業してくれた父も黙々と塗り続けます。なれない重労働に口数が減っただけかもしれませんが、数値化できない建築の魅力に迫れたようで、充実した一日だったと思います。
柱補修
柱の根本が見事なまでに腐っていました。補修しなくてはなりません。
しかし、この柱は隅柱(家の角にある柱)で通し柱(1階から2階まで続いている柱)取り換えることは困難で、壁を壊さないことには、継ぐこともできません。
どうしたものかと思い悩んだのですが、エポキシを使って補修することにしました。
最近では、文化財の補修にも用いられているようで、性能を確認したのですが、柱の補修に十分なものだと思います。
まず、柱に防腐剤(水性)を塗って乾燥させます。
次に低粘度エポキシ樹脂(写真右)を注入し、既存木部の強度を高めます。
さらに、エポキシパテ(写真左)を練り、形作ります。
最初は、100均の紙粘土みたいだなと思っていたのですが、次の日には石のように固まっており、あとはこれを研磨すれば完成です。